2011年03月31日
今週の特集記事!:中止された2つのアニメイベントは、業界にどんな影響を与えるのか?
今回の文章は、そんなことを考えているいちスタッフから書かれました。。
さて、今回TAFとACEが開催されなくなったと言うことはどういうことか。
まずは一連の流れです。
TAF(東京国際アニメフェア)は、東京都が主催するイベントです。「アニメ産業の振興と発展を目的とする国内初の国際的フェア(TAFのHP、実行委員石原都知事からの挨拶より)」として開催されています。今年も3月の26,27日にわたり開催される予定でした。
しかし2010年12月、石原都知事が進める「東京都青少年健全育成条例改正案」に反対した各アニメ・マンガ関連企業が不参加を表明。角川書店を皮切りに、どんどん不参加企業が増えました。
そして年の瀬迫る2010年12月28日。角川書店が、「アニメコンテンツエキスポ(ACE)」開催を決定。TAFと全く同日に開催し、今回不参加を決めた企業の参加が次々出展を決めました。
チケットはあっという間に4万枚が売れ、TAFは開催されるのか?という声も上がるようになっていました。
それが、今回の震災でどちらも中止。
4月には都知事選も行われ、石原都知事も出馬しています。ドラマみたいでもあり、拍子抜けでもあり、何だか煮え切らない今回の事件。私たちは、一体どうとらえれば良いのでしょうか?今回の一連の事件が、都知事選や業界に与える影響とは何なのでしょうか?
さて、まず今回の件で言えることは、表現規制について目に見えるガチンコ勝負がなくなったということです。
今回の件はイベントという形を通じて、一体どちらをファン(イベントに来るお客様)が支持するか、というのを見られる良いチャンスでした。入場者数、という形で必ずそれは結果として表れます。しかし、今回の中止で業界と観客(ファン)が、表現規制の条例を是非どちらでとらえるか?を見る場所がなくなったのです。
でも・・・今回震災も何も起こらず、TAFが行われたとしても、TAFについて報道されることも、その主催者が石原都知事であることも知られることはどのみち無かったでしょう。一般人はアニメとかより、芸能人や殺人事件の方が興味があります。アニメフェアとコンテンツエキスポの戦いについて心にとめる人はいなかったでしょう。
であれば、「サブカル歴史にちょっと残る一ページ」程度。TAFとACEが行われている中で、ネット上で「人多い」「過疎」等の実況煽りが発生する程度だったことが想像できます。でもそれでネット住民が「やっぱり規制はおかしいって証明された!」と言うからといって、都知事選に投票するであろう大衆の興味がそこになければ、都知事選の結果は五十歩百歩でしょう。結局、何が起こったかって、ファンと東京都の間柄はどんどん悪くなっていくだけ…。コンテンツは社会で認められなければアンダーグラウンドに生息するしかありません。一般大衆からは「なんかよくわかんないもの」として「オタク」のレッテルを貼られて遠ざけられる。それは、一体コンテンツと業界にとって幸せなんでしょうか?表現をしたい!伝えたい!というクリエイターにとって幸せなんでしょうか??
そうやって、業界の地位が今と同じかそれ以下になったら、業界に就職したいという人も減る。そんなの、ラクジョブだって耐えられません。
・・・・・とここまで、ちょっと極端なシミュレーションをしてみて思うのは、「今回の2つのイベントが中止されたことは、争いをちょっとおあずけにされたということかもしれない」ということです。
ともすれば「イベントがなくて良かったのかも!」ともとれそうな、危険な意見です。でも、このまま結局対立して、東京都は認めないね!業界だってそんな東京都認めないね!!とやっているのは、争いとしては正しいのですが、かなり一触即発です。今回の都知事選がどうなるかわかりません・・・が、もし石原さんではない他の都知事が選抜された場合、来年のTAFは、そして青少年保護法は、どうなるかわかりません。新しい「東京と業界」が生み出されるのかもしれないのです。
だから、色々あったけど、これも将来的には不思議な奇跡なのかもしれない。と、そうビ・ハイアは考えています。